【あらすじ】
前奏曲
 プロヴァンスのレネ王は、娘のイオランタが生まれつき盲目であることを深く憂い、本人に過酷な運命を悟らせないために、山中に城を築き匿うようにしてイオランタを住まわせていた。「無断で城内に入るものは、極刑に処す!」と立て札が掲げられているので近寄る者もなく、イオランタの秘密は固く守られていたが、レネ王はムーアの高名な医師エブン=ハキアの評判を聞き、最後の望みをかけイオランタの目を診断させようと決心したのであった。
第1幕 イオランタの城
第1景
美しい庭園で、イオランタが乳母マルタや友人、侍女に囲まれ歌っている。しかしイオランタは「自分には決定的に足りないものがあるのではないか?」という疑問に苛まれ涙ぐむので、侍女や友人達は優しく慰める。するとイオランタは「今私は声を震わせずに涙を流したのに、どうして私の涙に気がつくことができたの?」と訝る。「本当に瞳は、涙を流すためだけにあるものなの?」と辛い胸中を歌う。
第2景
乳母マルタは何とか姫の気を紛らわそうと、花を摘んでくるように侍女たちに命じる。
第3景
イオランタは友人のブリギッタや女官達の優しさと摘んできた花の香りとに癒され、マルタの歌う子守唄で眠りにつく。
第4景
その頃、王の使者アルメリックが早馬で、レネ王と医師が間もなくイオランタの城に到着すると伝える。門番のベルトランは新顔の使者アルメリックにイオランタ姫は盲目であるが、本人にも知らされていない絶対の秘密であり、視覚に関する話題は避けるように伝える。アルメリックは驚き「イオランタ姫はスペインの修道院にいると聞かされていた」と話す。そうしている内にも、レネ王と医師エブン=ハキアが到着する。王は有名なアリオーソ「これが過酷な運命のなせる業か!」と愛する姫の悲劇を嘆き、イオランタの目が治るなら命も差し出すと歌う。

第5景へ
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