第5景
早速、就寝中のイオランタを診断したハキアは「治療の可能性はあるが、そのためにはイオランタ姫が盲目である事を自覚しなければならない」と告げる。しかし王は「治る保証が無い限り、知らせることは断じて出来ない」と拒否する。するとハキアは「生きとし生けるものの中には」のモノローグで「肉体と精神は不可分なもので、魂が真実を知り、理性が認識した時、治療が可能になる!」と医師としての強い信念を説く。ハキアの主張が正しいと知りながらもイオランタを傷つけることを怖れ、レネ王は苦悩する。
第6景
一方、山の中に迷い込んだ若い騎士ロベルト公爵とヴォルテモン伯爵はイオランタの城をみつける。「許可なく侵入した者は極刑に処す」という立て札に好奇心を掻き立てられた二人は寄り道をして行こうと話す。ロベルトは許嫁に会いに行く途中であったが「愛する人がいるので、許嫁には会いたくない」とヴォルテモンに訴え、熱い恋心を「僕のマチルダは比類なき女性!」と歌う。
第7景
二人が立て札を気にしながら城の門をくぐり庭園に入ると、美しい娘が眠っている。ヴォルテモンはその寝顔を一目見るなり、自分が探し求めていた理想の女性だと恋に落ちてしまう。二人の気配で目を覚ましたイオランタは珍しい客人をもてなそうと、お酒を取りに行く。しかしロベルトはこの城は異様な雰囲気がすると嫌がり「援軍を連れて戻る」と言い残し去って行く。イオランタがお酒持って戻ってくるが、その美しさに魅せられ声もでないヴォルテモンに「なぜ黙っていらっしゃるの?」と楽しげに歌う。そこでヴォルテモンは「出会いの思い出に赤いバラを下さい」と頼む。しかし色が分からないイオランタは、白いバラを渡してしまうので、ヴォルテモンはイオランタが盲目であることに気が付く。衝撃を受けたヴォルテモンが「光を見たくないのですか?」と聞くと、イオランタは「光とは何?」と尋ねる。ヴォルテモンは「大自然からの妙なる贈り物」であると歌うが、「あなたこそ大自然の贈り物であり、宇宙の美に光は無用だ」とイオランタを慰める。しかし光の存在を知ったイオランタは「太陽の光が見たい!」と歌うのである。
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