第2幕:吉原の「京都」の芸者屋
イリスは眠りから覚め、自分は楽園にいると思いこむ。そこへ「大阪」がやってきて口説こうとするがイリスは笑うばかり。やがて彼女は、その声が昨日芝居で見たヨールの声だと気付き、大阪に向かって「太陽の子」と呼びかける。すると今度は大阪が笑いだし、自分の名前は「快楽」だと答える。「ナニヴァの歌」。その言葉を聞いたイリスは、昔坊さんから見せられた、怪物タコが娘を締め上げている絵を思い出した。坊さんは「快楽」は「死」を意味するとイリスに教えたのだ。イリスはとうとう泣き崩れる。「ある日幼いころ」。すっかり失望した大阪は、彼女を家に返してやれと京都に言う。しかし京都は彼女を遊郭に入れることにする。京都はイリスに壁に開いた暗い穴倉を見せ、言うことを聞かなければそこへ放り込むと脅す。豪華なおいらん衣装に着替えたイリスは張り店に出され、欲望に満ちた男達の好奇心に燃える目の前にさらされる。イリスの美貌に男達は驚き、ついには吉原の「偉大な光」とまで賛美される。大阪は美しくなったイリスを見て、自分のあやまちを後悔し彼女の名を呼んで迫る。そこにイリスの盲目の父親が聞きつけ「とうとう見つけた」と叫ぶ。父親の声を聞き分けたイリスは喜ぶが、父親は彼女の顔に泥を投げつける。あまりのショックにイリスは自ら壁の穴倉へと身を投げる。
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