第2幕 ヴァカレス沼の畔
失恋の痛手から家出してしまったフェデリコを、母ローザとヴィヴェッタが探しに来ていた。ローザはヴィヴェッタに、「息子フェデリコを愛しているなら、ヴィヴェッタから想いを打ち明けて、息子を救ってあげて欲しい。」と頼む。ヴィヴェッタはローザの気持ちを、恥ずかしがりながらも嬉しく思う。一方老羊飼いのバルダッサーレとフェデリコの弟は、沼の畔の小屋でフェデリコを見つける。憔悴し切ったフェデリコを、バルダッサーレは若き日の自分の失恋談で慰める。小屋の中で寝入ってしまった弟の寝顔をみながら、フェデリコが「自分もせめて眠ることが出来れば、この苦しい想いを忘れられるのに」と歌う。《このアリア「フェデリコの嘆き」は、テノールの名アリアとして知られている。その哀切に満ちた旋律は、深い喪失によって損なわれたフェデリコの心の空虚を浮かび上がらせている。》もはやフェデリコの心を捕え、以前のフェデリコを取り戻すことは、母ローザにもヴィヴェッタにも出来ないことを、まだ誰も気づいてはいない。やがて起きる結末の悲劇へと向かうフェデリコの狂気が、この悲しく虚ろな嘆きのなかに、すでに影を落としている。しかし何とか息子を救いたいと思う母ローザの願いを受けてやって来たヴィヴェッタは、フェデリコに愛を告白し、傷ついたフェデリコの心を癒してあげたいと告げる。心を閉ざしていたフェデリコもヴィヴェッタの可憐な涙と母ローザの言葉に諭され、ヴィヴェッタと婚約をする。
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