時と所:15世紀後半・リスボン(ポルトガル)及びインド洋にある島
第1幕/リスボンの王室会議室
ポルトガル艦隊の司令官であるドン・ディエゴ提督の娘イネスは、もう2年も航海に出たまま帰らない、恋人ヴァスコ・ダ・ガマの身を案じて嘆く日々を送っている。ポルトガルでは新大陸探索と航路開拓のために、ディアス率いる大掛かりな船団が派遣されていた。ある日イネスが、ヴァスコと別れた日のことを思い出し「さらば故郷の岸辺よ
Adieu mon doux rivage」と切なく歌っていると、父親のドン・ディエゴが現れ、イネスと王室議会議長ドン・ペドロとの縁談を進めると言う。ヴァスコを愛しているイネスは、他の人と結婚なんてとんでもないとこれを拒否するが、そこへ当のドン・ペドロがやって来て「ヴァスコたちの船が難破して、全員行方が分からない」と知らせるので、イネスは悲しみの余り泣き叫び、侍女のアンナに付き添われその場を去っていった。早速議会で次の船団を出すかどうかの検討を始めたところ、王室議員の一人ドン・アルヴァルが「遠征隊で唯一生き残ったヴァスコが帰還したので、証人として呼んであります!」と告げる。入室したヴァスコは「航海した結果、喜望峰を回っても新大陸に到達できるはずです!」と新たな船団結成を要求し、証拠としてアフリカから連れて来た男女2人の奴隷を見せると「この者たちはアジア人なので、アフリカからの航路でアジアにいけるはず」と訴えた。しかし女の奴隷セリカは終始無言、男の方のネルスコは敵意剥き出しに尋問を拒否するので、結局2人の出身地は特定されず仕舞い。遠征を快く思わない司教たち反対勢力の勢いもあってか、協議の結果新たな遠征隊の請求は却下された。自分の希望が叶えられなかったことに腹を立てたヴァスコは、議会のメンバーを激しく非難し逮捕されてしまう。
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