第2幕/牢獄
牢の中で眠るヴァスコが、寝言で恋人イネスの名を呼ぶ。ヴァスコを愛している女奴隷のセリカは、胸に軽い痛みを感じた。セリカが「跪く太陽の子よ
Sur mes genoux, fils du soleil」と眠るヴァスコに優しく故郷の子守歌を歌っていると、そこへ男の奴隷ネルスコがやって来てヴァスコを殺そうとするので、驚いたセリカはその理由を尋ねる。ネルスコは自国の女王であるセリカが、別の人種であるヴァスコに心を奪われることは許されないと言い、再びヴァスコを短剣で刺そうとした。セリカは慌ててヴァスコを起こし危険を救うと、何事もなかったかのようにネルスコを去らせて、ヴァスコの海図を指差し「私の国まで喜望峰回りでいく安全な航路はここです」と教えた。それを聞き「これで自分の夢に近付ける!」と喜んだヴァスコは、思わずセリカを抱き締める。するとそこへドン・ペドロを伴ったイネスが現れ、セリカと抱き合うヴァスコの姿に顔を曇らせるので、ヴァスコはセリカとの関係を誤解されないために、セリカとネルスコ2人の奴隷をイネスに贈ると言った。それでイネスの誤解は解けたが、ドン・ペドロが「王の命により、私が新遠征隊を率いて新大陸への航海をすることになった」と言い出すので、ヴァスコは驚き憤慨した。そもそも新航路を提案したのはヴァスコなのだ。ドン・ペドロはその上「私はイネスと結婚するので、その奴隷たちは私が買い取り航海へ連れていこう」と言う。ショックで呆然とするヴァスコに向かい、イネスが辛そうに「私の愛で貴方の自由を勝ち取りました。貴方はご自分の夢を叶えるために突き進んでください!」と言うと「私の話を聞いてくださいヴァスコ
Ecoutez-moi, Vasco」と歌った。イネスは愛するヴァスコを自由にするために、ドン・ペドロとの結婚を承諾したのだ。
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