時と場所  11世紀初頭、ラホール(インド国境近くの町、現在のパキスタン北東部)
あらすじ
第1幕 ラホール、宮殿前
ラホールの町の民衆は、残忍なイスラム教徒のスルタン(皇帝)マームド率いる軍勢が町を焼き尽くし、死をもたらすと怖れ「万能のインドラ神よ、救い給え!」と夜の祈りを捧げている。神官ティムールは「インドラ神に護られているので心配はない」と説く。そこに大臣シンディアが登場し、密かに愛する姪シタが男と密通しているという噂に苦悩し「暗い嫉妬、生が死か」と歌う。そしてティムールにシタとの結婚を申し出るが「巫女との結婚など許されない!」と拒否される。そこでシンディアはシタを不浄な疑惑から一刻も早く救い出さなければと持ちかける。それを聞いたティムールは寺院を汚されたとし「美しさも若さもシタを護りはしない」と歌い、噂が本当なら容赦なく打ちすえると激怒する。一方シンディアは「シタの無実を信じたい」と歌い、二人の思いが二重唱でぶつかり合う。結局シンディアが直接シタに真実を確かめることになる。
そのころシタは尼僧達と夕べの祈りを捧げている。そこにシンディアがやって来て「愛する人がお前を隠遁者のような暮らしから解放する」と歌う。するとシタは「神に仕える身を構わないで下さい」とはねつける。愛を拒絶されたシンディアは激情し「噂は本当だったのか」と詰めよる。仕方なくシタは重い口を開き「祭り日に夕べの祈りを捧げていると、高貴な美しい若者が現れ、愛を語り去って行きました。その日以来若者は毎晩来ては愛を語り、『また明日』と言って帰りますが、手を触れたこともありません」と真相を語る。シンディアはそんな夢物語より、現実の愛を与えようと言い寄る。しかし一向になびこうとしないシタに怒り復讐を誓う。
神官達による裁きが始まり、ティムールは「愛を分かち合った汚れた魂で、神を冒涜した」としてシタに死刑宣告をする。シタは「神に全てを捧げて来ました」と必死に身の潔白を訴える。その時、王アリムが現れ「やめよ!シタは私のものだ」と叫ぶ。神官達は「王であったとは!」と驚愕し、シタも若者が王であったことを知り動揺する。ティムールは遺憾の意を示し「神は、寺院を冒涜した愛の償いとしてイスラム教徒との戦いを求めている」と述べる。即座にアリム王はマームドとの戦いに赴くため軍を集め明日の出陣を決める。シタとアリム王は、お互いのものであることを確かめ合い、人々は出陣を鼓舞し合唱する。
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