第2幕 第1場/パースの中央広場
 広場の周りでは、ライトを手にした警備員たちが見回りをしている。広場のカーニヴァル会場では多くの人々が歌や踊りで盛り上がり、ロスシー公爵も取り巻きたちと共に祭りを楽しんでいた。ロスシーはロマの女王マブを呼び付け、踊りを踊らせると上機嫌となり、マブに「今夜の舞踏会にキャサリンを連れて来てほしい」と頼む。にっこりと微笑み、その命を受けたマブだったが、実はマブはロスシーの元愛人。まだロスシーに未練のあるマブの心の中は、嫉妬と怒りで爆発しそうだった。そしてマブは密かにロスシーに復讐してやろうと考えた。
第2場/キャサリンの家の前
 鍛冶職人のヘンリーは何とかキャサリンの誤解を解こうと、深夜キャサリンの家の前に立ち、彼女がバルコニーに出て来るのを待ち切なく歌った。家の中で彼女の気配はするものの、結局真夜中の鐘が鳴ってもキャサリンは現れず、ヘンリーはまた明日出直そうとその場を離れた。そこへキャサリンの父サイモンの弟子、ラルフが現れる。ラルフはキャサリンに片想いをしており、今夜は祭りの酒の力を借りてその想いを断ち切ろうと、かなり酒を呷っていた。彼はいつの間にかキャサリンの家の前まで来て、やる瀬無い想いを歌う。すると彼の目の前に一台の馬車が止まり、一人の男が「キャサリン嬢のお宅はどこかな」と尋ねて来た。馬車は宮殿からの迎えの馬車で、表に出て来たキャサリンを乗せると、あっと言う間に走り去って行った。驚いたラルフは急いでそれをヘンリーに知らせ、ヘンリーは一目散に馬車を追い駆けた。ところがラルフがふとキャサリンの家のバルコニーを見ると、寝付かれぬキャサリンがヘンリーを想い歌っているではないか!実は馬車に乗って行ったのは、ロスシーへの復讐を企てる、キャサリンに変装したマブだったのだ。
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