トロイア人 あらすじ：
時と場所：古代、トロイアとカルタゴ
第1部 「トロイアの陥落」
第1幕 トロイアの広場
城壁の外 トロイアの人々は、ギリシャ軍の十年にわたる攻撃が突然終わりを告げたことに歓喜し、町を囲む城壁の門から躍り出る。そこにはギリシャ軍の鎧や武器の残骸と、化け物のような巨大な木馬が置き去りにされていた。トロイアの人々がその木馬を「戦いの神パラス・アテーナへの献上物だろう」と話していると、女予言者カサンドルが現れる。カサンドルはアポロ神から予言を伝授されたが、アポロの求愛に答えなかったため、その怒りをかい「カサンドルの予言を誰も信じない」という呪いを掛けられたのであった。カサンドルはトロイの広場で戦死したトロイアの王子エクトルの亡霊をみかけ、トロイア滅亡を予言するが、誰一人耳を傾ける者はいなかった。恋人のコレーブさえカサンドルの予言を信じようとはしない。怯えるカサンドルと慰めるコレーブの対照的な感情が二重唱となる。一方トロイアの王プリアムスはギリシャからの解放を祝う祝典を催し、拳闘志の戦いの踊りが披露される。続く無言劇では、エクトル王子の寡婦アンドロマクと息子アステュアナクスが登場し戦死したエクトルを悼む。民衆も悲しみに包まれ追悼の意を表す。そこにトロイア軍の司令官のエネーが現れ、祝賀会を中断し彼が目撃した不吉な事件について語りだす。その話というのは「神官ラオコーンが『木馬はギリシャ軍によって設計されたものに違いないので、火にくべてしまうように』と命令した。すると二人の悪魔が海から現れラオコーンを飲込んでしまった」というものであった。話を聞いたプリアムス王は「この災いはアテーネ神の怒りである」と信じ、カサンドルの警告を無視し、木馬をアテーネ神殿に戻すように命じる。群衆は大歓声を上げ、化け物のような木馬を町の中に引き入れてしまう。一人カサンドルだけは「私は見るに忍びない」と嘆き倒れる。
第2幕へ
オペラ名曲辞典TOP