第2部 「カルタゴのトロイア人」
第3幕 カルタゴ、ディドーンの宮殿
テュロス(レバノン南西部)の女王ディドーンが、隣国ヌミディアの攻撃から逃れ、新天地カルタゴを統治して7年の月日が流れていた。建国7周年を祝い、民衆が国歌でディドーン女王を讃えている。ディドーンは「愛するティロスの民よ」と歌い、夫を隣国のヌミディア人に殺害され、人々を引き連れてこの地に逃れてからの日々と、民衆への感謝を歌う。カルタゴの人々は女王に忠誠を誓い、女王は国作りに尽くした大工達、船乗り達、農民達に褒美を与え感謝を示す。そしてディドーンは「結婚を迫るヌミディアの王に抵抗する」と語り、民衆は女王を守ることを誓う。式典が終わり部屋に戻ったディドーンは満たされない思いの丈を妹アンナに打ち明ける。アンナは「愛に満ちた暮らしを送るべきです。」と再婚を勧めるが、ディドーンは寡婦として貞節を守らなければと再婚話を拒む。そこに荒で難破した船がカルタゴに寄港させてほしいと要請しているとの知らせが入り、女王は快く難破船を受け入れる。謁見するエネーの息子アスカーニュは「トロイアの陥落」を語り、カルタゴ滞在の許可を願い出る。ディドーンは彼らを勇猛果敢なトロイア人と知り歓迎する。その時大臣ナルバルがヌミディア人の襲来を知らせる。武器の不足に難儀するカルタゴの人々を前に、エネーはトロイアの司令官だと正体を明かし、トロイア兵とカルタゴ兵を引き連れ勇ましく出陣する。
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