第4幕
第1場 森の洞窟
ヌミディア軍は退散し、トロイア人はカルタゴで手厚い待遇を受け続けていた。エネーとディドーンは狩りに出た森の中で嵐に遭い洞窟で一夜を明かす。愛し合う二人が無言劇「王の狩りと嵐」で表現される。
第2場 ディドーンの庭園
ディドーンは貞節を守る寡婦として、エネーの愛を受け入れることを躊躇していた。しかし妹のアンナは姉の幸せそうな様子に「何よりも大切なのは愛、エネーは国王になるだろう」と喜ぶ。一方ナルバルは、狩りや宴にうつつを抜かし国務を怠る女王を「エネーは使命のためにイタリアに去ってしまうのだ」と懸念する。アンナとナルバルの対照的な心情が二重唱される。そこに幸せに満ち足りたディドーンとエネー、アスカーニュも登場し歌や踊りでヌミディア戦の勝利を称える祝宴が催され、奴隷達によるディヴェルティスマンが繰り広げられる。 [エジプトの踊り、奴隷たちの踊り、ヌーベイの女奴隷の踊り] 続いてディドーンの所望で、宮廷詩人イオパスが田園詩をハープにのせて歌う。寛ぐディドーンの傍らにエネーが寄り添い「エクトル王子の寡婦アンドロマクが再婚をした」という話をすると、ディドーンの心は乱れる。そしてアスカーニュはそっとディドーンの指輪を抜き取る。エネー、ディドーン、アスカーニュ、アンナ、ナルバル、イオパス、パンテーによる七重唱と民衆の合唱で荘厳な平和讃歌となる。人々が去ると、エネーとディドーンは甘美な二重唱「陶酔の夜よ」を歌う。しかし喜びもつかの間、愛に酔うエネーに神の使者メルキュールが「イタリアへ!」と命じる厳かな声が聞こえてくる。

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