第2幕 第1場/モンマルトルの丘のふもと
 早朝。丘のふもとの四つ角で、物売りの女たちが話をしている。そこへ一晩中フラフラと辺りを彷徨っていた一人の男が現れ、自由を謳う演説を始めると、物売りの若い娘にちょっかいを出すので、周りの女たちは彼を追い払う。近くにいたくず屋が「俺の大事な一人娘も、あんな男に騙されて家を出て行ったんだ…」と溜息をつき、誰かが天国の話をし出すと、別の誰かが「天国のような場所と言えばやっぱりパリよね!」と呟いた。路地では警官が浮浪者を追い払っている。
 そこへジュリアンが友達のボヘミアンたちと現れ、恋人のルイーズがお針子として働いている仕事場の前で立ち止まる。ここならルイーズの母親に邪魔されずに、彼女と話せると思ったからだ。ボヘミアンたちは「彼女とうまくいくことを祈るよ」と去っていき、ジュリアンはルイーズがやって来るのを待った。程なくして母親に伴われたルイーズがやって来て、母親と別れたところをジュリアンが捉まえるが、ルイーズは両親の気持ちを無視できずにいるせいか「もう時間だから…」とすぐに仕事場へ入ってしまった。
第2場/お針子の仕事場
 お針子たちがルイーズを「恋煩いの娘」と冷やかしていると、外から楽隊の音楽と共にジュリアンの歌声が聴こえてきた。お針子の娘たちは窓辺で喜んで歌を聴いているが、肝心のルイーズは浮かない顔だ。そのうち歌に飽きてきた娘たちが、深刻そうにしているルイーズを非難し出したので、居たたまれなくなったルイーズは、体調が優れないと言って仕事を早退するとジュリアンの許へと向かった。
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