第2幕 パリのアパート
デ・グリューは父親にマノンとの結婚の承諾を得るために手紙をしたため、かたわらではマノンが自分への賛辞に満ちた手紙を読み上げている。二人は貧しいながらも、愛に満ちた暮らしを送っている。そこへ二人の居場所を捜しあてた従兄のレスコーと、ギョーの放蕩仲間の貴族ブレティニが訪ねて来る。レスコーはデ・グリューの気持ちを確かめようと問い詰める。デ・グリューはマノンへの気持ちは真剣で、今父親あてに結婚承諾を頼む手紙を書いていたところだと言ってその手紙をレスコーに見せる。二人が話をしている間に、ブレティニがマノンに近づいて来て、今夜デ・グリューの父親が息子を取り戻すために使いをよこすことを告げる。そしてマノンがそのことをデ・グリューに知らせずに、自分の所に来れば、女王のように贅沢な暮らしができると誘惑する。レスコーとブレティニが帰り、デ・グリューが父親への手紙を投函しに出かけた後、一人で部屋に残ったマノンは先程のブレティニの言葉が頭から離れないでいる。マノンはデ・グリューのために自分は身をひくべきだと考えることで、贅沢な暮しに揺れる自分への罪悪感を思い切ろうとする。マノンとデ・グリューがいつくしんだ小さな暮らし、小さなテーブルに想いを馳せて歌うアリア「さようなら、私達の小さなテーブルよ」は演奏会でもしばしば歌われる。純粋に愛し合った若い二人の恋の終わり、その悲しみが聴く者の胸に迫る感動的なアリアである。帰って来たデ・グリューはマノンが泣いているので心配する。2人で夕食のテーブルにつきデ・グリューは「夢の歌」を歌う。目に浮かぶ夢の情景。しかしその情景の中にすでにマノンの姿はなく、愛の終わりを予知している。そこに来客があり、ドアに向かうデ・グリューを思わず彼を引き止めるマノン。ドアを開けたデ・グリューが連れ去られる音が聞こえ、マノンが悲鳴をあげる。
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