時と所:1865年・ムツェンスク(ロシア)
第1幕
第1場/カテリーナの寝室
 親子程も年の離れた、裕福な商人の家に嫁いだカテリーナは、日々舅(しゅうと)であるボリスに嫌味を言われながら過ごしていた。ボリスは元々息子とカテリーナの結婚には反対だったのだ。その日もボリスに「5年も経つのに子供も産めない出来損ないの嫁だ」と罵られ、彼女はボリスに「用意しろ!」と命じられていた鼠退治の毒を見て「お前に飲ませてやりたいよ」と心の中で呟いた。夫ジノーヴィーが男性として機能していないことも、彼女のつまらない毎日に拍車をかけていた。
 ある日製粉所の土手が崩れたとの報告があり、ジノーヴィーが現場へ様子を見にいくことになった。ジノーヴィーは父親のボリスに新しい使用人セルゲイを引き合わせると、早速事故現場へと向かった。ボリスは息子の留守中に若い嫁が浮気をしないように、無理やりカテリーナに貞操を誓わせると、夫との別れを惜しみもしないカテリーナを冷たい女だとなじりながら去っていく。残されたカテリーナの元に女中のアクシーニャがやってきて「新しい使用人のセルゲイは、前の主人の奥様に手を出して首になったらしいのでお気を付けください」と耳打ちをした。
第2場/イズマイロフ家の中庭
 数名の使用人たちが、女中のアクシーニャをからかっている。胸を触ったりスカートを破ったりしていたのが段々とエスカレートして、仕舞いには新入りのセルゲイの音頭で彼女は強姦されそうになる。そこへカテリーナがやって来て、使用人たちを叱り騒ぎを鎮めるが、セルゲイは臆する様子もなく「私と取っ組み合いでもしませんか?」と今度はカテリーナの体を組み敷いた。するとそこへボリスがやって来て「何をしているんだ!」と怒鳴るので、カテリーナは「つまずいて転んだだけです」と言い、皆も話を合わせる。ボリスは忌々しそうに「ジノーヴィーが帰ったら報告するからな」と言い去っていった。
第3場/カテリーナの寝室
 1人きりの寝室で「もう随分と自分を抱いてくれる人もいない..」と溜息をついているカテリーナの元に、使用人のセルゲイがやって来て「何か本を貸して下さい」と部屋に入り込む。何となくお互いのつまらない毎日を語っている内に、セルゲイは「昼間の続きをしましょうよ」と突然カテリーナに抱き付いて来て、抵抗空しくカテリーナはそのまま犯されてしまう。しかし「私は人妻なんだからこんなことは許されない..」との言葉とは裏腹に、人肌恋しかったカテリーナの本能は激しくセルゲイを求め出し、しっかりと彼を抱き締めた。遠くでボリスの声が聞こえたが、2人はお構いなしに再びベッドの上で抱き合った。
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