第2幕
第1場/イズマイロフ家の中庭
 真夜中。寝付けぬボリスが中庭の見回りをしていると、カテリーナの部屋に明りがついている。独り身の夜にあの女も寝付けないのだろうと「ひとつ慰めにいってやるか」と、よこしまな考えでカテリーナの寝室へ向かったボリスは、彼女の部屋から出て来るセルゲイの姿を目撃する。嫁と使用人の不貞に怒ったボリスは、すぐにセルゲイを捕まえると中庭で激しく鞭打った。駆け付けたカテリーナは泣きながらそれを止めさせようとしたが、ボリスは疲れ果てるまで鞭を打ち続け、セルゲイを倉庫に入れると鍵をしっかりと締め、カテリーナに大好きな茸料理を持って来いと命じた。カテリーナは怒りに打震えながら台所へいくが、ボリスの料理のお皿には鼠捕り用の毒を盛る。料理を一口食べたボリスは苦しみ出し、死の予感からか司祭を呼べと言った。カテリーナは冷やかな目でボリスを一瞥(いちべつ)すると、彼のポケットから倉庫の鍵だけを抜き取りさっさと出ていってしまう。朝になり、ボリスはやって来た使用人に司祭を呼ばせ「あの女に毒を飲まされた..」と告げるが、虫の息となった彼の言葉を誰もが錯乱時の戯言(たわごと)と取り、ボリスはそのまま息を引き取った。そこへ現れたカテリーナは、偽りの涙を流しながら「茸の毒に当たったのだわ!」と嘆いてみせる。
第2場/カテリーナの寝室
 ベッドの上で、カテリーナはセルゲイと情事の時を楽しんでいるが、セルゲイは「このまま情夫でいるのは真っ平だ!」と漏らし出すので、カテリーナは「きっと貴方を夫にしてみせるわ」と言い彼に激しいキスをせがんだ。しかしセルゲイが寝入ってしまうと、死んだボリスの亡霊が出て来てカテリーナに恨み事を言うので、彼女はすぐにセルゲイを起こす。ところがセルゲイには亡霊が見えない。そこで彼は「気のせいだ」とカテリーナを落ち着かせ、2人は眠りに就いた。暫くすると物音がするので、カテリーナは「夫だわ!」と飛び起き素早くセルゲイを隠した。入って来た夫のジノーヴィーは「お前の不貞は父さんに聞いて分かっているんだ!」と言いカテリーナに殴り掛かるので、セルゲイが出て来て体を押さえ付け、カテリーナが思い切りその首を絞めた。さらにセルゲイが燭台で頭を殴り付け、ジノーヴィーは絶命する。2人は死体を倉庫に運び鍵を掛けると「これで夫婦になれる..」と喜んだ。
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