【あらすじ】
第1幕
第1場/オべロン王の城
妖精の国の森の中。城内の寝室で眠りに就く妖精王オべロンの周りでは、妖精たちが静かに合唱している。そこへ突然王の従者パックとドロルが現れ、妖精たちを追いやると王の話をし始めた。オべロン王と妃のティターニアは「男と女のどちらが浮気者か…」で言い争いとなり、「いかなる逆境でも一生互いを愛し続けられる男女が現れるまで仲直りしない!」と言っているそうだ。パックたちがこの状況を嘆いていると、王が目を覚ます。ドロルは「逆境の中でも愛し合う男女を知っています!」と王に告げ、王は早速その片割れである騎士のヒュオンとその従者シュラスミンを森へ呼ぶ。王も何とか妃と仲直りがしたいのだ。王はすぐに二人を眠らせると、ヒュオンの愛するレツィア(バグダッドのカリフ、ハルーン・アル・ラシートの娘)が彼に助けを求めている夢を見せ、目覚めて「レツィアを救いに行く」という二人に魔法の角笛と金杯を与えた。ヒュオンはこれまでも夢の中でしか逢ったことのない愛するレツィアを救い出すため、シュラスミンと共にバグダッドを目指す。
第2場/バクダッドへ向かう道中
ヒュオンはバグダッドへ向かう途中ペルシャの王子バーべカンを獅子から救い出すが、彼は「邪悪な者が使うと唇が焼けてしまう」という魔法の金杯に口を付けるなり唇が焼け、ヒュオンたちに襲いかかる。バーべカンはヒュオンが愛するレツィアの婚約者だった。バーべカンを追い払ったヒュオンたちの元へナモウナ(レツィアの侍女ファティーメの祖母)が現れ「レツィアは無理やり結婚させられそうだが、いつも夢で会っている騎士に救われる幻影を見たらしい」と告げる。ヒュオンが彼女への愛を確信していると、今度はオべロン王の従者ドロルが現れる。彼はカリフの宮殿へ忍び込むための変装用に、アラビア人の衣裳を持って来てくれた。
第3場/バクダッドのカリフの宮殿
レツィアが結婚を嫌がり嘆いているところへ侍女のファティーメが現れ「間もなく勇敢な騎士が助けに来ると聞きました」と告げる。外からはハーレムの女奴隷たちと兵士たちの歌声が聴こえる。
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