【あらすじ】
時と場所:特定なし
第1幕 田園とアンジェリカの部屋
魔法使いゾロアストロは偉大なる騎士オルランドが、愛に悩んで覇気のないことを懸念し、勝利と栄光にみちたかつての姿を取り戻させようと「軟弱なる心を捨て、人生の栄光を取り戻せ!」と歌う。しかし現れたオルランドは「愛に押しつぶされそうだ」と憔悴している。一時はゾロアストロの力強い説得に勢いを得るが、やはり英雄として生きながらも、愛を貫くのだと決意する。一方羊飼いの女ドリンダは傷を負ったアフリカの王子メドーロに出会い、介抱するうちにメドーロを愛するようになっていた。ドリンダは切ない想いを「愛を知らないあの頃は、森の木々を渡る風と小鳥のさえずりで心癒されていた」と歌う。
場面はかわってかつてオルランドに助けられたカターイの王女アンジェリカが登場する。アンジェリカはドリンダを手伝う内にやはりメドーロに恋をしてしまい「私の崇拝するメドーロの傷が癒える代わりに、私の心は恋の傷に張り裂けそうです」と歌う。そこに現れたメドーロは「心は炎に焦がれ、太陽を浴びる雪のようだ」と歌う。しかしメドーロはアンジェリカの愛に応えながらも、一途な想いを寄せてくれるドリンダへの未練も捨てきれず、ドリンダの元を訪れては「私を忘れたいと言うのは嘘だ」などと甘く囁く始末なのであった。
メドーロが去って一人残ったドリンダは「嘘とわかっていても、もしかしてと希望がわくの」と歌い仕事に戻る。一方アンジェリカとメドーロが恋仲である事を知ったゾロアストロは「裏切りがオルランドの復讐を決意させる!」とアンジェリカを諫める。そこでアンジェリカは恩知らずの誹りを免れようと「オルランドが王女イザベッラを救ったのは愛のためだ」と嫉妬するふりをする。困惑するオルランドは「イザベッラ王女の窮地を救ったのは騎士道によるものだ」と訴える。するとアンジェリカは「あなたの忠義が証明されないうちは、私の心に愛は宿りません」と歌いオルランドを翻弄する。一途に愛を誓うオルランドはアンジェリカにブレスレットをプレゼントする。するとアンジェリカはオルランドを手玉にとるように口づけをして去っていく。残されたオルランドはアンジェリカへの愛の証しに「怪獣とも嵐とも戦う」と歌い戦意を新たにする。
その頃メドーロとアンジェリカは誰にも邪魔されずに二人の生活を送ろうと、アンジェリカの故郷カターイへ逃亡する策を練っていた。そこにドリンダが突然現れ、抱き合う二人を目撃してしまう。メドーロの愛にかすかな期待を持ち続けていたドリンダは取り乱す。仕方なく二人は関係を認めるが「心優しいドリンダは必ず真実の愛を見つけるだろう」と慰め、ドリンダは「愛するメドーロの幸せを祈ります」と答える。愛し合う二人が、片思いのドリンダを慰め切なく美しい三重唱となる。そしてアンジェリカはオルランドから貰ったブレスレットをドリンダの腕にはめると、メドーロと手を取りあって去って行く。


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