時と所:272年・パルミーラ王国(現在のシリア中央部タドモルにある都市遺跡パルミラ)
第1幕
第1場/イシデ大神殿
パルミーラ王国の女王ゼノービアが、国民を励ましている。国民は皆ローマの侵攻を危惧し落胆しきっているからだ。そこへ将軍オラスぺが現れ「ローマ軍が近付いている!」と告げるので、女王は援軍であるペルシャ王子アルサーチェに出陣を願い出ると、固い抱擁を交わし彼を送り出した。
しかし神のお告げでパルミーラが陥落することを予知していた大祭司長は「大地は告げる Stava,dira la terra」と歌い、破滅に向かう王子アルサーチェの身を案じた。
第2場/広大な野原
アルサーチェは戦いに敗れ捕えられ、戦場となった野原ではローマ軍の兵士たちが勝利に歓喜する。そこへローマ皇帝アウレリアーノが現れ「親愛なる祖国よ! Cara patria!」と兵士たちを称え歌い、兵士たちは皇帝に益々の忠誠を誓い高らかに声を上げる。
皇帝はローマを裏切ったアルサーチェに「パルミーラ王国との同盟を撤回しろ」と持ち掛けるが、元々武力による弾圧でローマに屈していた上に、パルミーラの女王ゼノービアを愛しているアルサーチェはこれを拒否し投獄される。
第3場/立派な天幕の内部
皇帝は従軍しているプブリア(33代ローマ皇帝の娘)に今回の戦の勝利を伝えるが、彼女は思いを寄せるアルサーチェ王子が捕われたことを知ると、密かに彼の身を案じる。そこへ護民官のリチーニオがやって来て、パルミーラの将軍オラスぺの来訪を伝える。皇帝の前に通されたオラスぺは「話し合いを!」と女王との対面を申し入れ、皇帝は女王の身の安全を保障しこれを受け入れる。しかし「アルサーチェの解放」を希望する女王と「捕虜は解放するがアルサーチェは渡さない」と言う皇帝との間で話し合いは決裂し、女王はただアルサーチェとの面会だけを許される。そしてすがる様な目を向ける自国の兵士たちに「必ず助けに来る!」と言い残しその場を離れる。
屈しない女王を見て心の曇るプブリアだったが、女王の強さと美しさに皇帝が一瞬にして魅かれている姿を見て「皇帝が女王を説得し彼女を手に入れれば、王子は私を愛してくれるかもしれない」と、淡い期待を抱き神に祈る。
第4場/古城内の幽閉所
アルサーチェ王子と会うことを許された女王ゼノービアは、早速幽閉所を訪れ不運に嘆くアルサーチェを励ますと「私が何としてでも助け出します」と言い放つが、彼は愛する人を危険な目に遭わせる訳にはいかないと自分を見捨てるよう彼女を諭し、女王は「貴方がいなければ生きてはいけない」とこれを拒む。
そこへ皇帝アウレリアーノが現れアルサーチェをもう一度説得するが、彼はやはりこれを頑なに拒否。女王は愛する人の命を案じ苦悩する。そんな中ローマ軍兵士たちは勇ましく声を挙げ出陣の準備を始め、女王はただただ王子を強く抱き締めるしかなかった。

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