【あらすじ】
時と場所:トロイア戦争後、イタカ島
<第1幕> イタカ島のユリッス王の宮殿
イタカ王ユリッスの宮殿で侍女達は忙しく糸紡ぎをしながら、トロイア遠征に参戦したまま10年以上も還らないユリッス王を待ち続けるペネロプ王妃について噂している。ペネロプはユリッスが必ず彼女のもとに帰還すると確信しているものの、ユリッスの父のために経帷子を織り上げたあかつきには、大勢の熱心な求婚者達から結婚相手を選ぶよう迫られている。今日もペネロプの財産目当ての求婚者達アンティヌス、ユーリマク、レオデス、クテジップそしてピザンドル達は宮廷に通い、我こそはと凌ぎを削っていた。ユリッス王の年老いた乳母ユリクレは「王の帰りを待つ貞淑なペネロプ王妃に言い寄る不埒な者達!」と叱責する。ペネロプも求婚者の執拗な態度に反感を抱き「ユリッス王は必ず帰還します」と気丈に振る舞うが、内心は不安を抱き、行方知れずの夫ユッリスにそっと呼び掛ける。その時宮廷の外に見知らぬ男が現れ、物乞いをする。求婚者達は物乞いを追い返そうとするが、ペネロプはその物乞いに憐れみを感じ、慈悲深く宮殿に招き入れる。乳母のユリクレが、襤褸を被り顔も定かに見えない男の足を洗っていると、膝にユリッス王と同じ傷跡を見つける。驚くユリクレは物乞いの男が、実は幼い頃からずっと世話を見て来たユッリス王である事を見破ってしまう。しかしユリッスは「今はまだ誰にも口外してはならぬ!」とユリクレに命じる。10年ぶりの再会に、躍る心を抑えながらユリクレは物乞い(ユリッス)を外に連れ出し食事を与える。一方ペネロプは、経帷子の織り上がりを遅らせるために、その日織った布をほどいている所を求婚者達にみつかり咎められる。怒った求婚者達は、翌日再婚相手を決めるようペネロプに約束させる。追い詰められたペネロプを物乞いの男は「必ずユッリス王は帰還されるでしょう」と慰める。ペネロプとユリクレは海を見下ろす丘に登り、帰らぬユリッスの船を探す。
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