第2幕/宮廷
 宮廷内で貴婦人たちが、総督側近のタラポテ侯爵の介抱をしている。タラポテは、総督が貧乏な歌うたいの娘を妾にしたことにショックを受け、気を失っていた。そこへ酔いの醒めたピキロがやってくる。ピキロは、自分が何故ここにいるのかさえ分かっていないようだ。その場にいた貴婦人や従者たちが「お金のために総督の妾と結婚するとは、何とも呆れた行為だ」と彼を非難して去っていくのも、ただただ茫然と見送るばかりだった。そこへパナテッラス伯爵が現れ全ての事情を説明すると、ようやく事の次第を理解したピキロは「そんな馬鹿げたことには付き合いきれない!」と宮廷を出ていこうとする。しかし正式な手続きとして、花嫁となった女性を総督に渡す儀式があると、ピキロはその場に引き止められた。儀式が始まり、入って来た妾の姿を見てピキロは驚く。自分が結婚した総督の妾とは、自分を裏切ったぺリコールだった。ぺリコールは憤慨するピキロを尻目に「ああ、男って何て馬鹿なんでしょう! Ah! que les hommes sont betes!」と、裕福な暮らしを望んで何が悪いと開き直るので、益々怒ったピキロは「こんな女くれてやる!」とぺリコールを総督の席の前に突き飛ばした。その行為に激怒した総督ドン・アンドレスは、すぐさま「ピキロを捕え地下牢に放り込んでおけ!」と従者に命じた。


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