【あらすじ】
プロローグ ギリシャの葡萄畑
葡萄畑では、村人たちが忙しく葡萄の収穫に追われている。辺りにはワインを醸造する豊かな香りが立ち込め、喜劇の創始者テスピスは気持ち良く眠りこんでいる。酒の神バッカスの巫女達はテスピスを起こして、バッカスの讃歌を創るよう催促する。するとテスピスは人々の暴露話を皮肉るので、巫女達は「もう一度眠ってちょうだい」と慌てて遮る。そこに現れた愛の神アムールと噂の神モミュス、喜劇の神タリーは「人間と神々に教訓を与えるような芝居を作ろう」と提案する。そこでテスピスは「大神ジュピテルが妻ジュノンの嫉妬深さを直すために芝居を打つ」という物語を思いつき「新しい芝居を創ろう!」と歌う。この新しい物語こそ喜劇の始まりとなるのである。
第1幕 シテロン山麓の沼
大きな沼に嵐が吹き荒れ、ギリシャの王シテロンは「何が神の怒りをかったのか」と天に問いかける。するとジュピテルの使者メルキュールが降臨し「大神ジュピテルが妻ジュノンの嫉妬深さに腹を立て雷鳴を轟かせているのだ」と打ち明ける。そこでシテロンは「嫉妬するのも馬鹿馬鹿しいような相手とジュピテルが浮気をしているという芝居をして、ジュノンの嫉妬深さにお灸をすえてはどうか」と提案する。浮気のお相手は醜くて自惚れ屋の沼の精プラテがうってつけだということになる。話が決まってシテロンとメルキュールが引き揚げると、噂のプラテが現れる。自惚れ屋のプラテは「恥ずかしがり屋のシテロンは私に夢中なのに、つれない態度をとるの」と侍女クラリーヌに打ち明ける。蛙やカッコウが二人の恋を祝って歌い出すと、シテロンが現れプラテはあからさまに媚びを売る。しかしシテロンは「一介の人間と沼の精では身分違いです」とはぐらかし相手にしないのでプラテは怒りだす。メルキュールが再び降臨し「大神ジュピテルはプラテに恋い焦がれているのです」と告げる。自分を魅力的だと信じて疑わないプラテはメルキュールの言葉を信じて有頂天になり、すっかりシテロンのことなど忘れてジュピテルを迎え入れる準備を始める。一方これが策略とは知らないジュノンは嫉妬に狂い雷鳴を轟かす。辺りは黒雲が垂れこめ激しい雨が降り始めるが、プラテは「沼を潤す恵みの雨だわ」と挑発するので、ますますジュノンは激怒し猛烈な北風で応酬する。プラテを祝福していた妖精や生き物たちは堪らなくなって沼に逃げこんで行く
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