第2幕
1ヵ月後のなまず横丁。漁師たちが、漁に出かける準備をしている。クララの忠告を無視して、嵐の気配のする海に出て行く気らしい。ポーギーはベスと同棲するようになってから、俄然幸せそうに暮らしていて、陽気に
「俺にはない物ばかりだぞ」と、バンジョーの伴奏に乗ってアリアをうたう。「俺にはない物ばかりだぞ。車もない、ロバもない、労苦もない。しかし俺には女がある、歌がある、神様がある。」スポーティン・ライフが覚醒剤を売りに来るが、マリアに撃退されると、次いで如何様弁護士のフレイジャーが、クラウンとベスの離婚届なるものを売りつけに来る。アーチデイルの尽力で、ピーターが無事釈放になったとの知らせで、一同は彼に大いに感謝する一方、フレイジャーのいかさまも露見する。だがそのとき不吉な鳥「のすり」が飛んで来て、ポーギーの喜びに水をさす。ポーギーが恐れてうたうのが「バザード・キープ・オン・フライン」で、「のすりがいつまでも飛んでいると、精気を吸い取られてしまう。あの鳥が屋根に止まって、羽を休めるようなことがあると、そこの家の幸せは消えちまう。」スポーティン・ライフが再び登場して、ベスを覚醒剤で誘惑しようとするが、ポーギーに手ひどく追い払われる。そして「ベスよ、お前は俺のもの」という、有名な愛の二重唱になる。なまず横丁の住民たちは、揃ってピクニックに出かける。ベスとマリアは気が乗らないまま参加し、ポーギーは1人所在なげに残る。
同じ日の午後のキティワ島、ピクニックたけなわの頃、スポーティン・ライフが、「お前ら神の子の聞いているのは、悪魔ってのは悪者だと…。ところがそうとは決まっちゃいない。」と、独特の人生哲学をうたう。合唱は、「好きなことをするのに、ちっとも恥ずかしいことないぞ。」と呼びかける。ピクニックが終わりベスが1人はぐれて、帰りの船に向かって歩いていると、この島に潜んでいたクラウンに見つかってしまう。結局彼女はクラウンに押さえつけられ、茂みの中へ引きずっていかれて暴行される。
1週間後のなまず横丁のポーギーの家で、ベスはピクニック以来発熱して寝込んでいる。セリーナがベスのために祈り、ポーギーもこれに応じる。そして教会の鐘が5回鳴ると、ベスの意識が戻り、彼女はキティワ島での出来事をポーギーに打ち明ける。ポーギーは喜んで「時間になった、おお神さま」とうたい出し、ベスは「私はここにいたいわ、でもそんな値打ちのない女よ」と答え、素晴らしい二重唱に発展する。
やがて案じられていた暴風雨が来襲、激しくドアをノックする音が聞こえる。それは命からがら島から逃げて来たクラウンで、ベスを取り戻しに来たと凄む。そのときジェイクの船が転覆しているのをベスが発見、動転したクララが嵐の中へ飛び出して行く。誰も助ける勇気がない中で、クラウンがクララを無事連れ戻したら、ベスを貰い受けると嘯いて、嵐の中へ身を躍らせる。後は集まった黒人たちが、神に祈る声のみが残る。
(C) 出谷 啓
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