第2幕
 官邸内の総統の部屋。パオロはピエトロに、アンドレアとガブリエーレを連れて来るように命じる。パオロは先だっての恐ろしい情景を思い起こし、破滅と恥辱を避けるには、シモンを殺すしかないと、邪悪な決意をうたう。そして毒薬の瓶を取り出し、シモンの机の水差しにそれを注ぐ。牢から出されたアンドレアをフィエスコと見抜いたパオロは、シモンが毒を飲んで寝ているあいだに、首尾よく殺してしまえと迫るが、フィエスコは断固として拒絶する。2人のバスによる二重唱は、凄みさえ感じさせる。そして今度はガブリエーレに、アメリアがここでシモンの情婦として囲われていると、パオロが吹き込む。当然ガブリエーレは激昂して、アリア「心に炎が燃える」をうたう。そこにアメリアが現れるので、彼は総統との関係を問い詰めるが、彼女は清らかなものだと返答する。総督の到来を告げるファンファーレが鳴り、アメリアは急いでガブリエーレを物蔭に隠す。現れたシモンにアメリアは、実はガブリエーレを愛していると告白する。娘が政敵を愛していると聞いてシモンは驚くが、その愛が真剣なものと知ると、罪を悔い改めるなら許そうという。アメリアが去った後、水差しの水を飲み、睡魔に襲われ眠ってしまう。その隙にガブリエーレは、短剣を持って総統に忍び寄る。帰って来たアメリアは驚いて止めるが、気配に気付いたシモンは目を覚まし、実はアメリアは我が娘だと明かすので、ガブリエーレも自分の軽はずみな行為を詫びて、2人に許しを乞うのであった。そのときシモンに反乱を起こした、貴族派の叫び声が起こり、本来なら彼らとともに戦うべきガブリエーレだが、命を賭けて彼らを説得するとシモンに誓い、シモンもまたその暁にはアメリアとの結婚を許すと約束する。
(C) 出谷 啓
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