時と場所:16世紀 ドイツ、ライン地方
第1幕 宿屋の汚れた屋根裏部屋
宿屋の女将がみすぼらしい屋根裏部屋に、アメリカ帰りの騎士ルプレヒトを案内し、この宿で一番良い部屋だと自慢している。すると隣室から叫び声が聞こえて来るので、ルプレヒトが駆け付けると、レナータと言う若い女性が「悪霊に取り憑かれている」と言って悶え苦しんでいる。美しいレナータに心魅かれたルプレヒトが事情を聞くと、レナータは身の上話を始める。
レナータは子供のころ、マディエリと言う「炎の天使」と美しく不思議な世界の中で、いつも一緒に過ごしていた。やがてレナータは年頃になり、友情は愛情に変わっていった。そこでレナータがマディエリに恋心を打ち明けると、マディエリは「時がきたら人間の姿になって再びレナータの前に現れる」と約束して去って行った。月日は流れ、レナータはハインリッヒと名乗る伯爵に巡り合う。そして彼こそがマディエリの生まれ変わりだと確信し恋に落ちる。二人は短くも幸せな時を過ごしたが、突然伯爵はレナータを捨てて姿を消してしまった。レナータはそれ以来、夜ごと悪夢にうなされながら伯爵を捜し続けていると言うのである。
話を聞くうちに、普段は冷静なルプレヒトもレナータの不思議な魅力に憑かれ、彼女を自分のものにしたいと言う欲望にかられるが、激しく拒絶される。しかしルプレヒトは危なげなレナータを愛し、守りたいと強く心に決める。様子を見に来た女将は、怪しげなレナータを売春婦と罵り、占い師を呼んで来る。占い師はレナータとルプレヒトの血塗られた運命を予言する。怯えるレナータを連れてルプレヒトは宿を逃げ出して行く。
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