【あらすじ】
時と場所:19世紀半ば、シベリアの流刑地
第1幕 シベリアのイルティシ河畔、獄舎の中庭
 四方を壁に囲まれた獄舎の朝、囚人達が十字を切り、空を仰いでは朝の支度をしている。中庭の隅では数人の囚人達が傷ついた鷲をいじめている。そこにゴリャンチコフと言う男が連行されて来る。ゴリャンチコフはまだ市民服を着ていて、司令官の質問に胸をはり「私は政治犯です!」と答える。その態度に腹を立てた司令官はゴリャンチコフの服を脱がせ、百回のムチ打ちの刑を言いつける。ムチ打ち場に連行されるゴリャンチコフを心配して、まだ幼いアリイエイヤが後を付いて行く。やがてゴリャンチコフの悲鳴が裏から聞こえてくる。囚人達は「彼はもう助からない」と話しながら、傷ついた鷲を「森の帝王」と呼び逃がそうとするが、鷲は飛べずに鳴くばかりである。すると獄舎の衛兵が「働け!」と囚人達を追いたてる。囚人達は「もう故郷を見ることはない!辛い労働があるばかりだ!」と歌う。頭のおかしな男スクラフトは、ルカと言う男に昔の話をして、踊り狂う。一方ルカは、かつて囚人達の反乱を扇動し、それを抑えようとした少佐をナイフで刺殺し、自分も半殺しの目にあったと、手柄話のように話す。その時、笞打ちを終えたゴリャンチコフが扉の向こうに引きずられて行く。囚人達は作業の手を止め、閉じられた扉を見つめている。

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