第2幕 イルティシ河畔、船修理場
 1年が経ち、日暮れ時の河畔で囚人達は船の修理やレンガ積みをしている。少し離れた場所にゴリャンチコフ、アリイエイヤ達も現れる。ゴリャンチコフはアリイエイヤを可愛がっていて、字の読み書きを教えようと約束する。今夜は祝祭日なので、囚人達は浮かれ調子で「祭日だ!」と騒ぎ、年に一度の芝居の準備を始める。衛兵達が警戒する中、司令官と訪問客が現れる。牧師の祈りの後、囚人達は思い思いに会食をしたり、川に飛び込んだりして束の間の自由を楽しんでいる。賑やかに雑談が弾み、頭のおかしなスクラフトは、恋をしたドイツ女が他の男と結婚したので、その男を殺したと話す。面白がって話を聞いていた囚人達は「全部嘘だ!」とスクラフトを野次る。数人の囚人達は足かせをしたまま、船に用意された簡易舞台で演技を始める。芝居を見に来た他の囚人達とともに、ゴリャンチコフとアリイエイヤも並んで座り演技を楽しんでいる。題目はオペラ『ゲリドールとジュアン』(ドン・ジュアンが騎士を殺し、女を奪い最後は自ら悪魔に連れ去られるという物語)、パントマイム『粉屋のすばらしい女房』(夫の留守に女房が3人の男を引きいれ、帰宅した夫が大暴れすると言うドタバタ喜劇)。芝居は大成功で幕となり、囚人たちは獄舎へ引き上げていく。余韻を楽しむゴリャンチコフとアリイエイヤが並んでお茶を飲んでいると、酔っぱらった小男の囚人が、ゴリャンチコフの態度が気に食わないと絡んでくる。そして側にいたアリイエイヤに湯沸かしを投げつける。
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