トリスタンとイゾルデ
時と場所:中世の初め
開幕前の出来事:
トリスタンはイゾルデの従兄で婚約者でもあったモロルトを殺したが、その際自らも傷を負い、治療の秘術を知るイゾルデのもとにタントリスという偽名でやってきた。しかしイゾルデはトリスタンの正体を見抜き復讐をしようと剣をかざす。ところがトリスタンの目を見たイゾルデは彼を愛するようになり、その剣を落としてしまった。そのあとイゾルデはマルケ王の花嫁に選ばれ、この日、船でコーンウォールの城へ送られることになった。その舵手となったのがトリスタンであった。
【あらすじ】
〈第1幕〉
前奏曲:冒頭はチェロとオーボエによる「憧れの動機」で始まる。この幕で、トリスタンとイゾルデが媚薬を飲んで眼差しを交わし、愛に目覚める場面の音楽である。その先は、時折ためらいを交えながら、「愛の情熱」がうねるように進行する。やがて寄せては返す大波のような「法悦の動機」が次第に高まり、頂点に達したところで急速に減衰する。低弦による暗い静かな音楽となり、二つのピツィカートで「前奏曲」が終わると幕が上がる。
第1場:アイルランド王国からブリテン島南西部コーンウォール王国へ向かう船の上。アイルランドの王女イゾルデがコーンウォールのマルケ王の妃となるべく、侍女のブランゲーネを伴って船でコーンウォールに向かっている。
第2場:イゾルデを護送しているのはマルケ王の甥で忠臣のトリスタンだが、彼はかつてイゾルデの婚約者モロルトと決闘し、これを倒したものの、重傷を負って偶然イゾルデに命を救われたことがあった。
第3場:トリスタンはタントリスという偽名を名乗ったものの、イゾルデは正体を見抜き、この婚約者の仇を愛してしまったのだった(タントリスの歌)。
第4場:トリスタンと愛の黙契を交わしたと信じるイゾルデは、彼がいまや自分を主君の妃にしようとしていることに腹を立て、償いとして彼に心中を求める。
第5場:トリスタンはこれを受け入れ、二人は毒薬をあおるが、それはブランゲーネがすり替えていた愛の薬だった。コーンウォール到着を目前にして、たがいに押し殺していた二人の愛の炎は燃え上がる。
(C)吉田 真
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