トロヴァトーレ
時と場所:15世紀初頭。スペイン、アラゴン
第1幕 決闘
アリアフェリア城門の前、ルーナ伯爵の帰りを待つ衛兵たちに、フェルランドが眠気覚ましとして、伯爵家に伝わる因縁話を語り始める。アリア「卑しいジプシーの老婆が」で、先代の伯爵には2人の息子がいたが、ある日ジプシーの老婆が、弟君の方を呪い殺そうとしたので、伯爵は彼女を火焙りの刑に処した。ところがその直後灰の中から、赤子の焼死体が発見され、弟君の揺籃が空っぽになっていた。人々は老婆の祟りと恐れたが、先代の伯爵は息子はどこかで生きていると思い、続けて探索するよう遺言を残して死んだが、今の伯爵はそれを守って弟の行方を追っている。とここまで語った時、鐘が真夜中を告げたので、衛兵たちは身震いして逃げて行く。
城内の庭園、夜の光景。女官のレオノーラが、侍女のイネスとともに、人待ち顔に佇んでいる。レオノーラは、見知らぬ吟遊詩人を愛するようになった経緯をイネスに話す。アリア「穏やかな夜」で、彼がいくら待っても来ないので、仕方なくレオノーラは城に戻る。入れ替わりにルーナ伯爵が現れ、彼女にプロポーズしようと部屋に入ろうとすると、吟遊詩人の歌が聞こえて来て、レオノーラが待っていたかのように走り出て来る。暗闇に立つ伯爵を、吟遊詩人と勘違いして駆け寄る。すると吟遊詩人本人が姿をみせ、不実者と彼女の行ないをなじる。レオノーラは暗かったので、人違いをしたのだと詫びる。嫉妬に駆られた伯爵は怒り心頭に発して、彼女が止めるのも聞かず、決闘をするために裏庭へ行く。レオノーラはその場に、気を失って倒れる。
(C) 出谷 啓
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