第3幕 ジプシーの子
ルーナ伯爵の野営地。兵士たちが明日の総攻撃の勝利を確信して、「兵士のラッパは高鳴り」を合唱する。そこへフェルランドが、怪しいジプシーの老婆を見つけたと、アズチェーナを引き立てて来る。伯爵は取り調べの中で、昔先代の伯爵の息子が盗まれた話をして、その消息を知らないかと訊ねる。アズチェーナはお前は誰だと訊くと、誘拐された息子の兄だと答えるので、彼女は激しくうろたえる。そして彼女こそその犯人だと、フェルランドが思い出し、しかも彼女がマンリコの母親だとも分かり、これで弟の仇が打てると伯爵は喜ぶ。そして彼はマンリコをおびき出そうと、城塞の前に火刑台を建てさせる。
カステロールの城内。レオノーラは戦の不穏な空気に怯えるが、マンリコは彼女を慰め、アリア「いとしい君よ」をうたう。そして2人が結婚式を挙げようとするとき、伝令がやって来て、アズチェーナが捕えられ火刑台にかけられようとしていると告げる。レオノーラがあのジプシーは誰かと問うと、マンリコは私の母だと打ち明ける。驚愕する彼女を残してマンリコは、勇壮なカバレッタ「恐ろしい炎」をうたい、多勢に無勢不利と承知しながらも、母親を救出するために、部下とともに城外へ打って出て行く。
(C) 出谷 啓
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