第3幕/ソバーキン邸
部屋の中に主であるソバーキン、その娘マルファの婚約者ルイコフ、そしてマルファに密かに想いを寄せるグリャズノイが集まって話をしている。話題は皇帝の花嫁選びについてである。実はマルファもその友達のドゥニーシャも、皇帝の花嫁候補2000人中の12人に選ばれていたので、ソバーキンはルイコフに、結婚を待ってもらっているのだった。しかしドゥニーシャの母サブーロヴァが来て、娘が皇帝から話しかけられたと喜び勇んで話したので、皆はドゥニーシャが妃に選ばれるのだろうと思った。とうとう結婚の儀式ができると喜んだルイコフは、早速式の準備に取りかかる。この時マルファを自分のものにしようと企んでいたグリャズノイは、チャンスが巡って来たとばかりに二人の介添人を申し出て、花婿と花嫁の祝いの杯を用意する。そして花嫁マルファの杯に、こっそりと例の惚れ薬を入れた。ところが薬はすでにグリャズノイの愛人リュバーシャの手により、毒薬にすり替えられていた。何も知らない花嫁マルファはそれを飲みほし、婚礼の儀式に集まった人々は、歌や踊りで二人を祝った。そこへ突然家政婦のペトローヴナがやって来て、皇帝の使いの到来を知らせた。やって来たのはグリャズノイの親友、親衛隊員のマリュタであった。彼は皇帝の花嫁にソバーキンの娘マルファが選ばれたことを告げた。突然の知らせに皆が驚く中、マルファの父ソバーキンはマリュタの前で跪き、深く頭を下げた。幸せの絶頂から奈落に突き落とされた新郎ルイコフは、それを眺めながら顔から血の気が引くのを感じ、当のマルファは、あまりのことに呆然とそこへ立ち尽くした。
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