第2幕
 緞帳の前で演じられる一種の幕間劇で、ピン、パン、ポンの三重唱である。トゥーランドットの謎かけのために、いかに多くの若者たちが殺されたかが語られる。これはイタリア伝統の即興劇、コメディア・デラルテのスタイルによっている。
 再び紫禁城前の広場。群衆が謎ときをみようと、興奮して押し寄せて来る。役人たちがその群衆を整理して両脇に寄せると、年老いた皇帝アルトゥムが姿をみせる。皇帝は掟の厳正なことを、カラフに告げる。しばらくするとトゥーランドットが、多くの侍女たちをしたがえて入場、有名なアリア「この宮殿の中で」をうたう。姫は昔この宮殿に攻め込んできた、タタール人の若者のため、非業の死を遂げたローリン姫の故事を語り、その恨みを晴らすために、外国から来た若者に解けない謎をかけて、復讐して来たのだといい、誰も自分を我が者に出来ないと述べ、謎は3つ死は1つと冷ややかにいう。カラフはこれに対して、謎は3つ正は1つといい返す。最初の謎としてトゥーランドットは、「闇夜に虹色に飛ぶ幻、全人類が求める幻影。だがそれは心の中に甦るため、夜毎に生まれ朝に死ぬ。」と尋ねると、カラフは「それこそ希望」と答える。賢者たちが巻き物を解きながら、その答えの正しいことを確認する。次いで「炎に似て炎ではなく、生命を失えば冷たくなり、征服を夢見れば燃え立ち、その色は夕陽のように赤く、その声も聞こえる。」とも第2の謎を問いかける。するとカラフは、「姫の目をみれば燃え立ち、思いわずらう、それは血潮」と答え、またもや賢者たちが正解を認め、群衆も歓声を上げる。そして第3問の「お前に与える氷は炎、その炎は私にはもっと冷たい。自由を望めば奴隷となり、奴隷になりたいと望めば王となる。」を読み上げると、カラフは蒼白になって考え込んだ挙句、凛とした調子で「今こそ勝利は我が物、私の炎は氷を溶かす。それはトゥーランドットだ。」と叫ぶ。賢者たちは再び巻き物を広げて、トゥーランドットと繰り返す。謎が解けて群衆は大喜びするが、トゥーランドットは処女の身を誰にも渡したくないと皇帝に訴える。しかし皇帝は誓いは神聖なものだと断じ、群衆もそれに賛意を示す。群衆は誓いを守れと騒ぎ、「熱烈な愛情で姫を求める」と叫ぶカラフを応援する。カラフは沈黙を破って、「私の問いはただ1つ、私の名前を夜明けまでに告げてください。解けた暁にはお望みなら、この命を差し上げましょう。」といい、トゥーランドットもそれに同意する。皇帝はカラフを我が息子と呼び、人々は皇帝の徳を称えて、絢爛豪華な第2幕は閉じられる。
(C) 出谷 啓
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