時と場所:1780年代の夏からクリスマス、フランクフルト郊外のヴェツラル
あらすじ
前奏曲:雪の降る墓地のベンチに座りこむシャルロットは牧師が祈りを捧げる墓に歩み寄り、凍えながら泣き崩れる。寂しい葬儀は人影もなく、離れて佇む夫アルベールと妹のソフィーもシャルロットを残し去って行く。
第1幕 大法官の家と庭
夏のある夕暮れ、父親はまだ7月だというのに、退屈する8人の子供達に、クリスマスキャロルの練習をさせている。そこに外出着に着替えた母親代わりの姉シャルロットが現れ、幼い兄弟たちに夕食を配ると、家の中は和み、子供達は微笑みながら食事を始める。家族団らんの中、父親の友人シュッミットとヨハンが訪れ、酒を酌み交わし、歓談をして帰って行く。一方、外のベンチには大法官に招かれた若き詩人ウェルテルが、家から漏れ聞こえる子供たちの声と家族を世話するシャルロットの姿に、幼いころを思い出し「おお、恵みに満ちた自然よ」と歌う。そして大法官の居間に通されたウェルテルは、懐かしい家族の光景に心癒され、家事を終えたシャルロットとともに舞踏会に出かけてゆく。ほろ酔い気分の大法官が友人の待つ居酒屋へ出かけた後に、仕事の旅から帰ったシャルロットの婚約者アルベールが訪ねて来る。出迎えた妹のソフィーが「姉は結婚準備を楽しんでいます」と話すので、アルベールは喜び「シャルロットは希望の全て」と歌う。間奏曲〈月の光〉が流れ、楽しげに語らうウェルテルとシャルロットが帰ってくる。ウェルテルはシャルロットに魅かれ「あなたは天使、最も愛する人!」と歌い恋心を告白する。婚約者のいるシャルロットは戸惑いを隠せない。すると家の中から「アルベールが戻ったぞ」と言う父親の声がする。シャルロットは慌て「昔、死の床につく母を安心させるために婚約した人がいるのです」と告げ、家に入ってしまう。残されたウェルテルは衝撃を受ける。
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