第3幕 シャルロットの家
ウェルテルとの再会以来シャルロットは彼への想いを募らせ、人が変わったように衰弱している。「私の心には穴が空き、全て色褪せてしまった」と歌い、ウェルテルからの手紙を抱きしめる〈手紙の歌〉。そこに妹のソフィーが訪ねて来る。姉の様子を心配し「笑いこそが祝福!姉さんは皆が必要としている大事な人」と励ます。そして(ソフィーもウェルテルに淡い恋心を抱いているので)姉の苦悩は分かっていると告げる。それを聞いたシャルロットは堰を切ったように泣きだし〈涙の歌〉を歌う。ソフィーは「一緒に家に帰って、弟妹たちにクリスマスキャロルを教えて」と誘うが、シャルロットは虚ろにうなずくばかりである。仕方なくソフィーはシャルロットを抱きしめ帰って行く。残されたシャルロットは苦しみを叫び「神よ!勇気を!お導き下さい!」〈祈り〉を歌う。そこにウェルテルが現れ「あなたに会えないのなら死ぬつもりでした!」と告げる。シャルロットは必死で平静を装い「何もかも昔のままよ」と笑ってみせるが、部屋を見渡すウェルテルは想い出の品々が全て取り除かれていることに気づく。ウェルテルは名アリア〈オシアンの歌〉で「何故私を眠りから覚ますのか?」と悲痛な想いを訴え「唯一真実はこの愛である」と狂ったように激昂する。ウェルテルの激しさに怯えるシャルロットは、別室に逃げこみ「二度と会わない!」と叫ぶ。ウェルテルは絶望し「死!」と叫び去って行く。入れ替わり入ってきたアルベールは、ウェルテルの手紙を見つけシャルロットに渡す。手紙には「私は長い旅に出ます。銃を貸して下さい」とある。それを見たアルベールは非情にもシャルロットに銃を届けるよう迫る。しかしシャルロットが従うはずもない。怒りに震えるアルベールは銃を持ち駆け出してゆく。その姿を見たシャルロットは「神よ!間に合わせて!」と祈りながら後を追う。
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