第1幕
 1950年代のマンハッタンはウェストサイド、急増して来たプエルトリコ人に、古くから住む白人の不満が高まっている。白人の若い不良グループのジェット団も、このところプエルトリコ人の不良グループ、シャーク団に圧され気味である。両団の小競り合いを表すモダン・ダンスで開幕、2人の警官クラプキーとシュランクが、一応、ことを収める。後に残ったジェット団の面々は、来るべきシャーク団との対決に備え、今はジェット団を引退してドラッグ・ストアで働いている団の創立者トニーに、仲間に戻るように要請するが、彼は気が進まないまま、パーティには出席すると約束する。そして「サムシング・カミング」と、青春の胸のときめきを歌う。
 午後6時、花嫁衣裳店。お針子のアニータとマリアが、夜のパーティに備えて衣装を物色している。アニータは姐御肌の女で、マリアはシャーク団のメンバー、チノと結婚するため故郷のプエルトリコから出て来たばかり。
午後10時の体育館、両派合同のダンス・パーティ。既に若者たちは、マンボに興じている。シャーク団の団長ベルナルドが登場、司会者が両団の和合を試みるが、失敗に終わる。しばらくするとトニーが現れ、その混乱の中でマリアと視線を合わせる。2人は瞬間的にお互いを恋する。そしてチャチャを踊るが、兄のベルナルドに見咎められる。マリアが去った後、トニーは「今までに聴いた一番美しい響きだ」と、彼女の名前を繰り返しながら「マリア」を歌う。
 午後11時、裏路地のマリアのアパート。トニーの呼ぶ声に彼女は人目を憚るが、トニーは非常階段を伝って彼女のところへ行く。「ロメオとジュリエット」では有名なバルコニーのシーンにあたり、このミュージカルで最もヒットした愛の二重唱「トゥナイト」が歌われる。人の気配がしてトニーが立ち去ると、ベルナルドのほかにアニータ、ロザリアなどが現れ、プエルトリコに対するアメリカ人の偏見に憤慨し、また半ば皮肉って、賑やかな重唱曲「アメリカ」を歌う。
 深夜の12時、真夜中のドラッグストア。ジェット団のメンバーがたむろしている。シャーク団との決闘を前にして、その作戦会議を開き、何を武器にするかを決定する算段だ。子分たちがすっかり熱くなっているのに、ボスのリフは「クール」にやれと歌う。ジェット団の群舞の後、シャーク団が登場して会議が始まる。決闘の場所は?高速道路の下。武器は?そこへトニーがあらわれ、戦うのなら素手でやるべきだと主張する。そこへ警官のシュラングが顔をみせ、胡散臭そうに詮索するが、全員の知らん顔に悪態をついて出て行く。そしてトニーも、俺は恋をしているとドックに打ち明けて立ち去る。
翌日の午後5時半、閉店後の花嫁衣裳の店。トニーがマリアを訪ねて来る。決闘の予定を察知したマリアは、トニーに仲裁に行くことを約束させる。この場で2人は、マネキン人形を仲人に見立て、結婚式の真似ごとをし、「一つの手一つの心」を二重唱する。
 午後6時から8時、近辺のどこか。リフとベルナルドは、今夜は互いに相手を完膚なきまでやっつけると歌い、アニータはベルナルドとホットな一夜を過ごすと歌い、さらにトニーとマリアの「トゥナイト」が重なって五重唱に発展する。
午後9時、高速道路の下、両団対決の場面である。まさに乱闘になろうとする場で、トニーが現れて仲裁に入るが、ベルナルドはこれを拒否、逆にトニーを臆病者と罵る。我慢の限界に来たリフがベルナルドに飛びかかるが、逆にジャック・ナイフで殺されてしまう。血迷ったトニーも、とっさに同じナイフでベルナルドを刺殺する。パトカーのサイレンが鳴り響き、全員が散り散りに逃走する。
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