第2幕:ジプシー部落のバリンカイの古い館
バリンカイとザッフィは一夜をともにする。バリンカイは「愛する妻よ」と歌い、ザッフィは「なんという幸せ」と答える。愛の二重唱が甘く情熱的に歌われる。その様子を老女ツイプラが微笑ましく見守っていた。ツイプラは「ずっとご主人様の財宝を見守っていました。」と歌い、夢のお告げで知らされた財宝のありかは、二人が愛をかわした部屋の壁の中ですと歌う。ツイプラの話を信じようとしないバリンカイをザッフィが説得し、三人で壁を崩してみると中から伝説の財宝が見つかる。三人は喜んで「宝のワルツ」を三重唱する。このワルツは格調高いまさに宝のように美しいワルツで、古びた館からいつの間にか宮殿の舞踏会に迷い込んだような錯覚をあたえるほどである。まさにワルツ王シュトラウスの真骨頂が堪能できる。宝が発見されたことを知った豚飼いのジュパン達は長年探し続けた財宝を持っていかれたと悔しがる。腹いせにジュパンとカルネロ伯爵は幸せな新婚気分にひたる二人に保証人のいない結婚など認められないと詰め寄る。するとザッフィは「うそ鳥とコウノトリが保証人です」とかわしてしまう。
そこへラッパの音とともにスペインとの戦争のために兵士を募集するホモナイ伯爵が兵隊を率いてやってくる。酒好きのジュパンとアルゼーナの恋人オットカールは軍の差し向ける盃を振る舞い酒だと思い込み喜んで飲んでしまう。しかしその酒は従軍承諾を意味する盃だったためにジュパンのオットカールは入隊を余儀なくされてしまう。一方ジプシーとの結婚に異議を唱え続けるカルネロ伯爵に怒ったツイプラは、ずっと一人胸の内にしまっておいたザッフィの出生の秘密を話しだす。ザッフィはベオグラードの戦いでトルコ太守から預かった太守の娘であるというものだった。マリア・テレジア女皇の直筆の証文を見せられて一同は驚愕する。バリンカイとの結婚に喜びながらも自分の出生に引け目を感じていたザッフィは、障害が取り除かれたと喜ぶ。しかしバリンカイは一介の地方領主など到底かなわぬ身分違いの恋になってしまったと嘆き、酒を仰ぎ軍に志願してしまう。泣きすがるザッフィを振り切り、探し当てた財宝も祖国のためにすべて寄付して従軍してしまう。
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