テレビの速報のテロップに「前外相田中真紀子議員の辞職」のニュ−スが流れ、「田中前議員の功罪」がテレビの画面・新聞紙上を賑わしている。
今話題の田中真紀子さんが外務大臣に就任したときのインタ−ビュ−の中で「noblesse oblige」として(選ばれたことへの義務感)について語ったことについては、「士族のこと」の中で触れた。
その彼女が父田中角栄のことをどう思っているのかが気になっていたが、いつだったか議会での質問に「反面教師だ」と答えていたのが記憶にある。
それを聞いた時「反面教師」という言葉の意味がはっきり分からなかったので辞書をみてみた。
「 悪い見本として学ぶべき人。 その人自身の言動によって、こうなってはならないと悟らせてくれる人」とあった。
何が悪い見本であったのか、質問はその答えを引き出さずに終わってしまった記憶がある。
彼女自ら進んで疑惑をはらすために、普通なら秘密会なのにテレビ中継させたと云われる衆院政治倫理審査会での弁明の中で「任せていたので詳細は分からない」の発言は正直なところだと思われるが、この発言についての大方の意見は「疑惑は晴れていない」となったと思われる。
綿貫議長に辞表を提出、辞職が許可されたあとの、目白の自宅前でのマイクの前での辞職を決断した理由を語った以外、彼女が今後どのようなことになるのか分からない。
それにしても「小泉純一郎の生みの母、育ての母」としての選挙応援での発言はどうなったのか。アンケ−トで「日本の総理にしたい人」といわれた「現象」はどこからきたものなのか。
そして「反面教師」といった父角栄から何を学んだのであろうか知りたいところである。
政治の世界に二世議員が多いのも特徴の一つだと思うが、いつかアメリカからのニュ−スとして読んだ「タバコ」で大富豪になった人の「孫」が、今は「反ダバコ運動」の旗頭として活動しているという。
一部に長男の雄一郎君があとを継ぐと噂されている。
両親が早稲田で息子が慶應とは面白い組み合わせであるが、在学中若くしてすでに公認会計士の資格をとり、独立して事務所をもっているという。
当の本人がどう判断するかどうかという事だろう。
丁度手元に送られてきた日本公衆衛生誌(49巻6号平成14年)をみていていたら「日本公衆衛生学会総会60回記念座談会第2回」の記事の中に「反面教師」という言葉が出ていたので書きとめておく。
「らい予防法」との関連での大谷藤郎先生の発言であった。
北川定譲:今日の話とは別に、一度、先生に光田健輔論を伺いたいですね
大谷藤郎:光田先生は、その若い頃は時代背景を考えるとそれなりに評価されるのですが、晩年になってハンセン病は不治の伝染病という若い頃からのステレオタイプのために完全に過ちを犯された。先生の生涯の歩みは私たち公衆衛生人に反面教師としての決定的教訓を与えています。社会と科学の進歩を見誤れば、加害者になるということです。
とあった。
「らい病」については、「ハンセン病」として「らい菌」の認識・慢性伝染病としての位置づけを学んだが、法律上の意味づけについての講義の記憶はない。
「らい菌の研究はドロ沼にはいるようだ」、「勲一等を貰いたいならい療養所へゆくことだ」と先輩方が話しあっていた記憶があるだけである。
弘前大学へきたあと、学生の公衆衛生施設見学として青森の国立療養所松が丘保養園へ行ったこと、細菌学教室にいたことがある大高興先生が「困難だったライ菌の培養に成功した」との新聞報道されたことが頭の片隅にのこっている。(20020812)