勤労農民の自主的な組織としての農協は、歴史的にみて、主として経済的活動を通して発展してきたといえる。
経済的活動のみが農民のためになるのであろうか。
私の専門とする公衆衛生、又社会福祉の方では、地域社会の住民の生活水準を総合的に向上させることを目標にしている。
その生活水準とは何か、という問いに対して、ILO, UNESCO, FAO, WHOが1952年に次ぎの12の項目をあげている。
健康、食糧および栄養、教育、労働条件、雇用状態、総消費総貯蓄、輸送、住宅、衣料、レクリエ−ション、社会保障、人権としての自由、と。
生活水準の向上には、これらの項目の具体的な指標が総合的に向上することが必要になる。
農業の、農業技術の「近代化」「向上」が進んでいるといわれる今日、農民の健康水準の向上はとり残されてはいないであろうか。
農民のためにというなら、健康の向上を考えた事業が行われてもよいのではないか、と思うのである。