第3幕
 噴水のある王宮の庭園。エレザベッタからの逢引の手紙と信じて、カルロはいそいそとやって来る。だが実際に来たのは、ヴェールに顔を隠したエボーリで、それとは知らず彼は愛を告白してしまう。ヴェールをとって人違いだと知って、カルロはうろたえる。彼の不安そうな様子に、ロドリーゴと国王が密会して、皇太子のことを話していたと告げる。そしてエボーリは彼が愛しているのは、自分ではなく王妃だと知って激怒する。ロドリーゴがそれをみて、とりなそうと2人に割って入るが、強烈な三重唱「気をつけよ、えせ息子」になる。怒り心頭に達したエボーリが退場すると、ロドリーゴはカルロに、密書を自分に預けるよう迫るが、皇太子は一瞬ためらうがすべてを彼に託す。
 大聖堂の前の広場。民衆が集まって、国王を讃える大合唱が聴かれる。異端者を火刑に処するため、修道僧が囚人を引き立てて来る。聖堂の扉が開かれ、国王が異端者の処刑を宣告する。するとカルロが喪服を着てあらわれ、苦しむフランドルの民にお慈悲をと願う。だが王は彼らを反逆者と決めつけ、皇太子の口出しを叱責する。するとカルロは剣を抜いて、フランドルの救済を宣言する。国王の前で剣を抜くとは、不敬罪に当たると彼の剣を取り上げようとするが、誰も皇太子に対して手出し出来ない。だがロドリーゴが、彼に剣を差し出せと求める。カルロは一瞬驚くが、おとなしく剣を渡す。その場で王はロドリーゴに公爵の位を授け、火刑台に火がつけられる。人々は火焙りを見物に出かけ、天上からは救済の声が聞こえる。
(C) 出谷 啓
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