第4幕
 マドリードの王宮の一室。妃に一度も愛されたことがなく、今や息子にも裏切られた国王は、淋しくアリア「彼女は私を愛したことがない」をうたう。盲目の宗教裁判長があらわれ、皇太子を死刑に処するよう求める。そして裁判長はロドリーゴこそ、本当の異端者だといいその命を要求する。だが王は忠実な家来の命は差し上げられぬと答えるので、宗教裁判長は怒ってそのまま僧院へ戻る。そこへ突然王妃が、宝石箱を盗まれたと駆け込んで来る。王は宝石箱はここにあるといい、そこにカルロの肖像が入っているのを示し、王妃の不倫を難詰する。彼女は決して自分は、汚れていないと反論するが、王は聞き入れようとはしない。彼女はその場に失神し、急を聞いてエボーリとロドリーゴが駆けつける。2人の介抱で王妃は意識を取り戻し、王はロドリーゴを従えて退場する。するとエボーリは王妃に、カルロを愛する余りの嫉妬から、宝石箱を盗み出したと告白し、また国王と不倫の関係になったことも白状する。王妃はエボーリに、この国を離れるか、尼寺へ行くように行って立ち去る。エボーリは嫉妬と美貌の思い上がりから、こんな結果になったと、アリア「呪わしき美貌」をうたう。
 牢獄で物思いに耽っているカルロに、ロドリーゴが訪ねて来る。彼は皇太子を救出するために、自分が悪者になって、カルロには何の罪もないと手紙を書いて、それとなく国王の目に触れるよう仕組んだ。そしてフランドルの民を皇太子が救ってくれるよう託して、彼自身は死ぬ決意をしている。アリア「私の最後の日」がうたわれる。そのとき銃声にロドリーゴは倒れ、すべては王妃に託してあると、最後の息のうちにカルロに別れを告げる。そして彼女が、サン・ジュストの修道院で待っているという。そこへやって来た王は、皇太子を許して剣を返すが、その皇太子の解放を求めて、民衆が暴徒化して城内になだれ込んで来る。すると宗教裁判長が登場して、神を守る国王を敬うよう厳かに命令すると、全員が平伏して国王を讃える。
(C) 出谷 啓
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