「”日本の塩の先生はどうしていますか”と聞かれましたよ」と勝木司馬之助先生からいわれ、それは何故なのかと推理したことについては「食塩覚書」に書いたが、今度は「りんご博士」と書かれたことについてふれておこうと思う。
雅子様無事ご出産「新宮様ご誕生」のニュ−スが一日早かったら、「この番組はすっとっんでしまうことがあるのですよ」とNHK-TVのデレクタ−のKさんがいっていた番組の11月30日NHK-TVから放映の「生活ほっと」のホ−ムペ−ジをのぞいてみたら「りんご博士」とあるのを見たのである。
はずかしいような・嬉しいような記事であった。
「りんご博士 佐々木直亮教授」
「りんごが高血圧の予防に効果があるのを発見したのは、前弘前大学医学部教授の佐々木直亮さんです。昭和29年から青森、秋田で高血圧と食生活の相関関係を約18000人の疫学調査を行い、昭和33年に学会で発表しました。この研究は、世界的にみても初めての大規模な生活習慣と病気の相関関係を調べた研究でした」と。
「昔から、健康に役立つと言われてきたりんご。最近、科学の進歩と共に、りんごの健康効果の根拠が明らかになってきています。番組では、そうした健康効果をCGなどを用いてわかりやすく説明しながら、健康効果をフルに生かす料理方法などを紹介しました」がこの番組の基本的態度であることが分かった。
だから私の出番は「高血圧に食塩が関係していそうだ」そして「このりんご生産部落の人々の血圧が正常といおうか、高血圧がいないのは何故かと思った」の場面だけであった。 「40年前」「40年前」という言葉だけがばかに印象に残ったが、それ以来ズ−ット考え続けてきた自分には、ほんの昨日の思いがあるが。
生番組の途中で「では低血圧の人には・・・」という質問が出てきたときには、スタッフは驚いた事だろ。なにしろシナリオにはないことだったし、うまく「ごまかした」受け答えがあったが。私の「血圧論」に関係していることなので、これだけ話しても時間は足りない。それこそ「40年前」に子供の口からでた「中血圧」に関係していることなのだから。
今はやりの「CG」(コンピュ−タ−・グラフィックス)で説明するとあったが、カリウム説はCGであった。この説明は「先生の仕事とは関係ないことは確認の上」とはKさんの言葉ではあったが。
これによって番組をみる方はそれなりに納得されるのだろう。
と思って今朝の新聞(東奧日報)をみていたら、「薬と賢く付き合おう」の連載記事に青森の薬剤師会の方が「りんごを毎日食べれば血圧が下がるって本当?」の中で「カリウム説」で解説していた。誰が言い出したのかにはふれずに。
NHKは「博士」がお好きなようだ。
クイズ日本人の質問でもタレントさんは「博士」である。タレントはそれぞれ能力のある方だと思うし、司会も一流で、回答者が何んと答えるかも面白い。正解が一つなのに、記憶には不正解の方が記憶に残ったりする。
昔「クイズ面白ゼミナ−ル」ではなかなか真面目だったと思っていたのに、事実ちょっとの間違いが録画の途中あることが分かって訂正するのに1時間も待たされた経験からの感想だが、この頃の公共放送のNHKも民間放送なみに「にぎやかに」になってきているように思われる。
「末は博士か大臣か」といわれた時代の記憶があり、自分の子供に博士とつけた人がいたとか、その人が博士号をもらったらなんというかとか。「博士」は「バカセ」とお笑いに出てくるような印象が私にはあるので、「博士」もすなおには喜べない。
女子大の講義を受け持たれているK先生から「尾前照雄先生著の血圧の話」(岩波新書)は講義に便利なので、・・・これに先生のことが書かれていますよ」と云われた。「東北地方でリンゴを多く食べる人は高血圧が少ないという成績を報告されたことがある」と尾前先生から戴いた本にある。
同じく九大卒の川崎晃一先生から「高血圧が気になる人の食事」(NHK出版)にも「高カリウム食が高血圧を予防する!」と私の仕事を紹介して戴いていた。お礼に前述の勝木先生の話しに続いて先生方がこう書かれると今に「りんごの先生」といわれるようになるかもとお礼の手紙を書いたことを思い出した。
もっとも「りんご博士」といわれたのは、学生時代からお世話になりっぱなしの平尾正治先生に私達の特に選んだ畑からのりんごをお送りしたら、その礼状に「さすがりんご博士のりんご」とお褒めを戴いたのが最初である。(20011202)