昭和58年1月23日にNHKのテレビで放映された「クイズ面白ゼミナ−ル」はりんごがテ−マであったが、その中でのレクチャ−の内容は次ぎのようなものであった。
鈴木健二アナウンサ−:ではここで、専門の先生からりんごと健康についてのお話を伺うことにします。講師は弘前大学医学部の佐々木直亮先生です。
佐々木直亮:昔からりんごがありましたヨ−ロッパでは、「りんごを毎日一個づつ食べると医者を遠ざける」という諺があります。
りんごと健康について一体科学的にどんな証拠があるのか、ということなんですけど。
一番古くは、りんごをすりまして赤ちゃんに食べさせると下痢が治る、という研究がありました。これはドイツの小児科の先生が報告されたことで、世界中に有名になり、日本にもりんごと一緒に入ってきました。
りんごを食べると、肌が白くきれいになるという話がありますが、りんごを食べるとお通じがよくなることと関係があるかもしれません。
りんごの中には、ペクチンというものがありますが、ペクチンは毒消しになるということで、たくさん研究があります。
私たちは、東北地方に若いときから多い脳卒中そして高血圧、それを予防するにはどうしたらよいかの謎ときの研究をやって30年近くなってしまいましたが、りんごを食べることは高血圧の予防になるのではないか、と考えるようになりました。
高血圧に一番悪いのは食塩のとりすぎだと思いますが、悪い食べ物があれば、もう一方に高血圧によい食物があってもよいのではないか、と考えるようになりました。
実際にりんごを食べて血圧が下がったという研究をやったことがありました。また10年20年と毎日りんごを少しづつでも食べ続けている方の血圧が、りんごを食べない方の血圧に比べて、よい経過をとっているということを認め、学会に発表しました。
もちろん、りんごだけ食べてよいというものではなく、食べ過ぎてはいけませんが、毎日の食卓にりんごのような果物がいつものぼっているという食生活を、小さいときから続けるということが、健康にとってよいことだと思います。
りんごと健康について、きっかり2分30秒でまとめろと言われれば以上述べたようになるのだが、それぞれどんな研究がいつ行われてきたのか、以下順を追って説明していこう。