ご無沙汰し、お元気にしておられるかと思っていたら、日循協事務局からFAXが入った。
「日循協名誉会員秋山房雄先生(元東大医学部教授・元女子栄養大教授。享年92歳)が8月22日(月)14時02分、消化管出血のためご逝去されましたのでここに謹んでお知らせいたします」と。
「生あるものは死を迎える」であるが、先生もお迎えがきたのかと思った。
「消化管出血」とはあまり聞き慣れない病名だが、ふと以前亡くなった近藤正二先生のことを思い出した。
人それぞれで人様々である。先生も先生なりにご自分の体のことを考えておられたのに違いない。
謹んでご冥福をお祈りしたいと思う。
一寸年上の先生であり、学校も違い、専門も先生は内科、私は衛生と違ったが、同じ循環器関係のまた健康管理の仕事をされていたので、研究論文などでは存知上げていた。
今思うと「成人病」という言葉が出始めた頃、クラスの山形操六君が厚生省にいてその方面の仕事を始めたころから、先生とは身近におつきあいしていただいた記憶である。
「昭和35年5月WHOからDrフェイファ−が来日しました。国立公衆衛生院で会議をもちました。曽田長宗・渡辺定・山形操六・秋山房雄・平山雄・渡辺孝先生らの顔がみられます」
「昭和36/37厚生省による成人病実態調査が行われるようになり・日本各地でその調査のための厚生省(山形操六ら)の指導講習が行われました。このスライドは青森保健所での秋山房雄先生らによる心電図の使用についての講習会の様子です」と「日循協30年前夜の人々」で述べた記録がある。
また昭和36年寿命学会主催「脳卒中の予防・治療およびリハビリテ−ションのシンポジウム」にもご一緒させて戴いたこともある。
先生は「高血圧の健康管理」で「管理の目的は高血圧症とその合併症の発生を予防することにある」「職場にありましては50才を中心にいたしまして頻発する現状を,60才,更に70才,80才というような高年令に引き移すことにある」と述べられ、先生の考え方は「働き盛りの寿命を高年齢層まで伸ばす」ことにあったように伺われ、公衆衛生的に私には納得されるものであった記憶がある。
そんなことで日循協・民族衛生学会など,ながくおつきあい戴いた思い出がある。
いつも丁重なお手紙を頂戴した。
「りんごと健康」には「先生でなければ書けない記事が一杯盛られていて、医者はもちろん、一般の人達にも感銘深い著書だと存じます。先生のように研究と啓蒙の本当に少なく、したがって貴重だとかねがね思っておりましたが、そのみごとな見本を見せて頂き感謝しております」
「解説現代健康句」にも「これからの健康教育に大いに活用させて頂きます。先生のような立派なお仕事をなさった方がこのようなご本をお書き下さったことは感謝に耐えません。表紙の写真も口絵のホワイト先生もすてきですね」とあった。
良い先生を失った思いが強い。(20050828)