「縁(えん)は異(い)なもの・・」の記憶から

 

 「縁(えん)」というと仏教によく出てくる言葉を思い、「縁結び」は「神」で、「赤い糸に結ばれて」というと聖書に由来するということである。

 「縁は異なもの味なもの」というと、「男と女」との出会いをいうとあったが、殆どの方が興味がありながら、それでいて言葉にすることは受け入れられないのが今の「エチケット」であると思われるので書くわけにはいかない。

 ホ−ムペ−ジに昔の記憶をたどって書き、前に刊行した本に対して多くの方々から戴いた「読後感」や「印象記」の手紙を読み返してみると、その中に既に亡くなった方もおられて、その方のことが思い出される。「人と人との結びつき」の「縁」を思わざるを得ない。

 「衛生の旅」の中で出会った人々のことを前に書いたが、その中ではその方のことを書くというより、その方を題材にしながら自分の事を見つめる意味が強かったと思われる。

 今戦後60年とかいってTVで特集をやっているのを時々みるが、出てくる方々は皆私より若い人達のようである。

 「復興」で広島復興もやっていたが、あの時代のご苦労が偲ばれた。何の保障もないのに、よく頑張って生きてきたと思う。

 比島のミンダナオ島からの旧日本兵に関するニュ−スはその情報の正否がいわれてはいるが、私によっては「人ごとではない」感じであった。まず「森下孝君!」が出てきたのかとも思った。

 一人一人について記憶は絶えないのだが、最近読んだ医学雑誌によれば、「記憶を呼びおこすことは、脳の活性化に役立つ」とかいうのがあった。

 最近のHPにいつもご丁寧に返事を下さる平尾正治先生との関係で、前にご本の御礼に書いた私の手紙を再録しておくことにする。この中にも「縁」がいくつもあることが思い出される。

平成8年10月8日  平尾正治先生へ               

 「喜寿を迎える」余韻の余韻 一筆啓上

 二つ上の貴兄のたどった道は ほぼ同じ時代を送った私の思い出とも重なります

 学生義勇軍でお世話になったのが はじめての出会いであったのでしょうけれど 

 先日北大で学会があったとき 空から あの頃のことを思い出しました

 北大図書館に「北方資料室」というのがあることがわかりましたので 「北海道で運河を掘った」ときの手持ちの資料(写真を含めて)全部寄贈しました

 ご報告しておきます

 「p106記載」の「突然針で刺すような痛みを背中に感じて」という経験は私も同じでした 海軍にいたとき それで「胸膜炎」になって 内地の閑職につくことになって・・・・

 戦後国立公衆衛生院に勉強にいったとき その「病巣」を当時もっとも優れたX線診断技術をもっていた重松逸造先生によって発見されたという・・・・

 「p154記載」の「新響の会員」のこと 「日比谷」でお目にかかっていたかもしれませんね・・・

 などなど

 おそらく 私にも もちかく 「TIA」の発作があることでしょう

 20年も前 WHOの会議のとき 「TIA」を放置してよいのか 重要なことと「emergency」と考えるか 議論したことも 思い出されますが・・・・

 一病長寿といいますから それなりの生活をやっていけばよいのでしょう

 「衛生の旅」(Part 7)を出せるかどうか わかりませんが それがでたら載るであろう「小文」のコピ−同封しました

  お元気で

 平成9年4月15日  平尾正治先生へ      

 

 「続・喜寿を迎えて」頂戴しました

 人生の総集編とはまだ早すぎるとは思いますが 先生の戦地からの便りを父上が手文庫にきちんと整理してとっておいて下さったことは大いに感謝すべきことと思います

 拝見して また多くの先生との共通点があることを思いました

 私の場合は「青島(チンタオ)」でしたが 「五省(ゴセイ)」で「恥じることなかりしか」とやっていたことなど・・ハンモックで寝たこと・・短艇(カッタ−)の訓練など・・思い出しました

 先生がヨットをやられていたことも(私も青森県の初代会長などやりました)

 前便で差し上げたかと思いますが 昭和18年9月卒業 戦地には行かず 先生のような経験はなく 「遺言」は書きませんでしたが

 そんな思い出がありましたので 先日弘前市医師会報に「軍医・医師のこと」を書きました 掲載されましたら お送りします

 それにしても 朝子様・たけ様・歌子様・延子様などのお元気な女(かた)にかこまれて もちろん 奥様好子様にかこまれて おめでたい話です

 小生スキ−のシ−ズンが終わり そろそろゴルフの練習を再開したところですあと「窓をあければ アイコンがみえるよ」で日を送っておりますが

 第一生命の「モ−ツアルト事業」のお手伝いをする機会のありました「修(おさむ)」が同封のようなホ−ムペ−ジを開きました

 おついでの折り ごらん下さい

 最新作(イギリスから来たお客さま)の最後に小生のプロフィ−ルものっけてくれました

 お元気で 

 追記

 先生からいつもご丁寧な手紙を戴いているが、その中には先生の記録・記憶、戦時中の貴重な、また私など比較にぬならないくらいの厳しい体験また日本の保倹医学界のことなど記載されている。

 来年の4月5日には「米寿」になられる先生のことを思いながら書いてみた。(20050607)

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